今日のNHKのニュースで知りました。いい詩ですね。
分かりやすい言葉を使って人間の温かみを描いた叙情詩で知られる詩人の吉野弘(よしの・ひろし)さんが15日、肺炎のため静岡県富士市の自宅で死去した。87歳だった。(途中略)「二人が睦(むつ)まじくいるためには/愚かでいるほうがいい/立派すぎないほうがいい」で始まる「祝婚歌」は結婚式のスピーチでよく読まれてきた。
『 祝 婚 歌 』(しゅくこんか)吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは,長持ちしないことだと
気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ 胸が熱くなるのか
黙っていてもふたりには
わかるのであってほしい